主人公のダークヒーロー感は唯一無二!「軍鶏」の魅力

人気のあるバトル漫画の定番と言えば「最初は弱かった主人公が徐々に強くなっていく姿」を描いていたり、あるいは「主人公が最強ながらもそれを脅かす敵との遭遇」というのが主な相場ですが、得てして主人公側が正義であることがほとんどです。

多少の素行の悪さや社会的に褒められたような行動ばかりじゃないにしろ、善か悪かでいったら圧倒的に善であることが多いでしょう。本作は「元々弱かった主人公がチカラを手にして完全に悪に染まっていく物語」です。

ここまでの悪役がバトル漫画の主人公になるなんて異色にも程があると思うのですが、非常に面白いので他のマンガでは味わうことのできないダークヒーロー感の虜になってしまう人も多いのではないでしょうか。そこで今回は「軍鶏(全22巻)」という、ダークな雰囲気が満載のバトル漫画を紹介したいと思います。

著:橋本以蔵, 著:たなか亜希夫
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目次

軍鶏ってどんなマンガ?

コミックス1巻

主人公の成嶋リョウは温厚で学業も優秀な少年でしたが、ふとしたことがキッカケで親を刺殺してしまい少年院へと入ることになります。親を殺したとは言え内気で臆病な成嶋亮を待っていたのは、他の少年院生によるイジメや教官からの陰湿なイジメでした。イジメはどんどんエスカレートしていき、成嶋は生命の危機を感じるレベルまで追い込まれることになっていきます。

一方で更生のために少年院で習わされていた空手にて才能を開花させ、徐々に強さと凶暴さを身に付けていった成嶋は少年院を出所したあとも暴力が渦巻く世界へと足を踏み入れ続けることに。何もかも無くした男がチカラを手に入れた後、果たしてどこを目指して突き進むのでしょうか。

軍鶏を楽しむポイント

最初は内気で弱い主人公

コミックス1巻

親殺しとは言え、突発的にキレて刃物を使った犯行です。普段はおとなしい少年で、特に「普段から狂暴で手が付けられなかった」というわけでもないので少年院ではイジメの対象になっていました。しかし授業で習うことになった空手で一気に才能を開花させることになります。

ここまでなら通常のバトル漫画や格闘技漫画でありがちな部分だと思うのですが、本作が光っているのはこの後で徐々に主人公が人の道を外れていくという部分なんです。マイク・タイソンなんかも「元々はいじめられっ子だった」というエピソードを持っていますが、やはり手にした力を使わずにはいられないというか意外と「弱い者ほど反動で極悪非道になれる」みたいな部分があるのかもしれません。

弱者から強者へ下剋上の瞬間

コミックス2巻

才能が開花する瞬間は意外と早くに訪れます。少年院でボス的な存在だった人間を倒す事で、成嶋は一気に自信を手に入れました。上記画像のシーンでは「カウンターで倒すために策略的な意味で相手を挑発する」という手段を取っていますが、今後のバトルでは汚い言葉で相手を罵るのがデフォになっていきます。

最初は「2度と変な気を起こさせないために徹底的に相手をしばき倒す」という意味で、少しやりすぎてしまう部分も言わば「自己防衛の一種」だったんですよね。「相手が立ち上がってきたら何をされるかわからない」という不安感から、ダウンした相手に対して徹底的に肘を浴びせたりして…。それに関しては何となくですけど気持ちはわかるんです。それが徐々に狂っていく始点だったとは夢にも思いませんでした。

恩師との戦い

コミックス2巻

そして遂には空手を教えてくれた恩師と戦うことになります。この時のファイトスタイルから恩師である黒川が「まるで軍鶏だな」と比喩したことが作品のタイトルにもなっているのでしょう。印象としては「勝つためには手段を選ばない貪欲さ」みたいな感じですかね。この戦いでは黒川に対して「成嶋を無力化しろ」という命令が下っており、成嶋自身も戦いの中で「殺される」と恐怖を感じているシーンが散見されています。

結局、黒川が成嶋を殺すことはなかったのですが、このときの恐怖みたいなものが後の成嶋に対して「弱ければ死ぬ」とか「己を守るには強くならなくてはいけない」などの考えを形成したのかもしれません。この直後、少年院を出て社会復帰です。最初の1巻、2巻が少年院編に該当しますが、単行本2冊よりも遥かに濃いボリュームの物語を見たような気がしました。そして社会に出てからが本作の本番になります。

リーサルファイト編

コミックス3巻

社会復帰した成嶋でしたが少年院時代に見られたようなオドオドした雰囲気は一切なくなり、とある裏社会で幅を利かせている組織の下っ端のような感じになっていました。もちろん喧嘩は百戦錬磨で、ただのチンピラにしては相当強いようです。

ふとした瞬間にテレビで見ることになった空手の注目株、菅原直人の空手に何かを感じ、本物の空手家に戦いを挑むというのが【リーサルファイト編】になります。ここがメチャクチャ面白いです。ケンカが最強だとしても本物の武闘家相手には苦戦を強いられたり、その戦いの中でも「なんとかして勝つ方法を模索する」という流れが巧みに描かれていると言っていいでしょう。

最後に

その後の物語は【中国編】【グランドクロス篇】【どぶ組編】と繋がっていきますが、とにかく【リーサルファイト編】まで読んでみて欲しいです。私は少年院編からドップリ魅了されてしまい、一気に最後まで読んでしまいました。恐らく「ダークな世界観」みたいなものが好きな人には、すごく楽しめるバトル漫画だと思います。

ちょっと最終回に強いクセがあって、一般的に「わかりやすいエンディングではない」ので一部で酷評されていますが、物語全体としては非常に面白い作品だと思います。興味のある人は是非読んでみてください。

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