涙腺崩壊!恋愛・吹奏楽・野球の見事な融合『青空エール』を読もう

面白い面白いとは聞いていましたが、まさかこれほどまでとは・・・。今をときめく女優である土屋太鳳さん主演で実写化もされた、河原和音先生による『青空エール』ですが、遅ればせながら読みました。

さすがにそこそこボリュームがあったので数回に分けて読むつもりが、まさかの一気読みです。途中で止められなくなるくらい引きずり込まれてしまったんですよね。

結構前に『野球漫画』を探していたら本作品を推している人がいて、その時に1巻の序盤だけ読んだんですけど「野球漫画じゃないじゃん!」と思って、それ以降手に取ることがありませんでした。

それが如何に愚かな行為だったことか・・・(←読まず嫌いして後悔するばかり)。もし「泣けるマンガ」や「青春を感じるマンガ」を探しているのであれば、私は本作品を全力でオススメしたいです。若い故に起こる仲間同士の衝突や、1度しかない青春時代を一生懸命に過ごす姿が、本当に眩しいくらいに描かれているんですよね。

というわけで今回は『青空エール』をなるべくネタバレなしでご紹介したいと思います(大まかな流れについては言及してしまいますが、結末については書きません)。

目次

あらすじ

吹奏楽の名門・白翔高校に入学し、夢は全日本吹奏楽コンクールが開かれる普門館への出場が夢であるトランペット初心者の小野つばさ。全国大会を目指すレベルの高い練習についていけず、何度も挫折しそうになる。そんなつばさを勇気づけてくれる、クラスメートで野球部員の山田大介。お互い夢に向かって励まし合うふたりは、ある「約束」をかわす。いつの間にかつばさには、大介へのほのかな想いが芽生えていた。1年生の夏、地区予選の決勝まで勝ち進んだ野球部を吹奏楽部が応援。ところが途中出場した大介のミスで敗退。グラウンドで立ち尽くす大介のために、つばさは一人でトランペットを吹いてしまい、謹慎処分となる。心配して訪ねて来た大介への想いを抑えきれずにつばさは大介に告白するが、フラれてしまう。大介は、仲間の夢を潰してしまった自分が許せないでいた。ふたりは“両片想い”のままそれぞれの夢を追いかけ、そして、最後の夏が来る。

青空エール – Wikipedia

本作を支える大きな幹は主に3つの要素からなっています「恋愛」「吹奏楽」「野球」です。それぞれの要素において、様々な困難や友情などの描写が巧みに描かれています。

初心者が名門吹奏楽部に入部するだけあって、最初は困難の連続です。もちろん困難は最初だけじゃないんですが、それを乗り越えていく姿がメチャクチャ面白いんですよね。

野球部にいる大好きな彼と支えあっていく姿を見たら、女性の読者ならば「こんな彼氏が欲しい!」と思わずにはいられないのではないのでしょうか。

ざっくばらんに言うと、早い話が『「甲子園で応援したい彼女」と「甲子園を目指す彼」が結ばれるかどうか』って話です。こうやって書いてしまうと安っぽく映ってしまいますが、本作はそんな簡単な話ではありません。あくまで短絡的に表すとそうなるってことだと思ってください。

見所

困難の連続

コミックス1巻

名門吹奏楽部ですから、それなりに中学校で実績を積んできた生徒ばかりです。ま、当然ながら「お前がいるだけでみんなの士気に関わるから辞めてくれない?」みたいなことを言う奴が出てきます。本当にゼロからのスタートなんで、経験者でも挫折するような世界で通用するのかって部分に大きな見応えがあります。

本作の主人公である小野つばさは、明るくて真っ直ぐな性格で誰からも愛されるような女の子なんですけど、いわゆる初心者ブーストというか、秘められた才能みたいなものがありません。

スラムダンクでいうところの桜木のような「バスケ自体は初心者だけど、体格に恵まれていて瞬発力や運動能力が高い」というような武器がないんですよ。それでも『諦めない心と一生懸命さ』で困難を乗り越えていくんです(これが1番の才能だって気もしなくもありませんが)。

もちろん吹奏楽部に残っても「自分が演奏を台無しにしちゃったらどうしよう」という思いから演奏できなかったり、後輩が入ってきたときに入部したての後輩のほうが上手かったり・・・。とにかく困難の連続です。

それを努力で乗り越えていく姿が、メチャクチャ素敵なんですよね。泣きながら血の滲むような努力をして成長していく姿、これは必見です。

 

挫折

コミックス3巻

当然、努力だけじゃどうにもならない場面も少なくありません。本作品はイイ意味でスーパーマンが出てこないマンガなので、当然ながら挫折もします。

私自身、吹奏楽のなんたるかを知らないのでアレですけど、金賞なんて簡単に獲れるようなもんじゃないと思っていますし、まして野球部が甲子園に行くのがどれだけ大変かって話ですよ。

上記画像のシーンでは大介がつばさに謝ってますが、この場面になったときに「自分なら大介にどんな言葉をかけるか」を想像してみてください。そういうような見方をしたときに、本作の主人公であるつばさが「いかに熱い人間か」ってのがわかるかと思います。

いつもつばさを励ましているのは大介の方なんです。それを受けてつばさは、大介のことをスーパーマンのように思ったりしていたわけですけど、こういった場面を経て『気付き』を得て成長していく姿・・・素敵やん。

 

友情

コミックス5巻

本作では「何があっても諦めない主人公の姿」というのが大きな魅力となっていますが、そんな主人公も折れそうになってしまう瞬間があります。そんな時にそっと手を差し伸べてくれたのが大介であったり家族であったり吹奏楽部のみんなであったり・・・。

もちろん吹奏楽部のメンバーの中にも、同様に「なんらかの理由で部活に来なくなったりしてしまう人物」が出てきたりもしてしまうんですけど、主人公のつばさは放っておくことができません。そんな場面での『友情』が堪らなく最高なんです。

多くの読者が「自分だったら絶対にできない」というような、つばさのひたむきな姿に胸を打たれてしまうに違いないでしょう。また吹奏楽部のメンバーたちも、そんなつばさの姿を見て少しずつ変わっていくんですよね。

最初は「初心者ウザい、めんどくさい」みたいな印象だったのが「最後まで諦めない一生懸命な人」というか。とにかくその感情の変化も巧みに描かれているんです。

現在・過去問わず、こういう部活動なんかに身を投じたことがある人にとっては、似たような経験もあったりして思わず「いいなぁ」と思ってしまうシーンが数多くあるはずですよ。

恋愛

コミックス4巻

好きになった人がいたとして、最初は密な関係じゃなくても満足してしまうものです。「毎日、会えるだけでいい」とか「簡単な挨拶でもいいから一言二言交わせればいい」とか、始まりはそういうものですよね。

それが「もっと仲良くなりたい」となってきたり、最終的には「カタチが欲しい」となったり。「どっちも頑張ればいいじゃん!」って言う考えの人も当然います。

ドラマなんかでも「仕事を頑張る為に恋愛を犠牲にしてきた」なんて言ったら「大切な人すら守れないような奴にこの仕事が務まるか!」って怒られる的な。本作のように『名門』と呼ばれる高校において、入学する前から目指す目標がある人にとってはどうなんでしょうね。

お互いに励まし合ってイイ関係が築けていたときに、その関係が『告白』によって壊れてしまうかもしれないという部分は、誰しもが少なからず考えると思います。

それでも言わずにはいられないというか、もはや損得勘定じゃない真っ直ぐな気持ちは、見ていて非常にドキドキしますよ。私は本作を読んでいて何度も「あー、青春時代に戻りたい!」と思いました。

 

物語の行く末

コミックス6巻

このあたりは作者さんの技量はもちろん、編集者の判断とか色々あるんでしょうけど、物語の結末って基本的には「わかるもの」じゃないですか?

結末が近づくにつれて、それこそ甲子園を目指す野球漫画なら、甲子園に行って終わりなのか、甲子園を優勝して終わりなのか、はたまた甲子園の決勝に向かうバスの中で物語が終わるのかなどの差はあれど、ある程度の予想はできるものがほとんどです。

本作は、あくまで私の中では「最後どうなるの!?」という気持ちでいっぱいでした。正確には「甲子園に行ってほしい!」という想いで全力で応援していたと言った方が正しいかもしれません。

本来であれば「甲子園に行って2人の夢が叶って、最後には2人も結ばれるんでしょ?」というような冷めた目で見ているはずなんですけど・・・。物語の構成が上手いのか何なのか、いい意味で「メチャクチャ夢中にさせられた」ストーリーでした。

 

最後に

マンガにおいて野球なら野球で1本描けるでしょうし、同様に吹奏楽や恋愛に関しても同じです。最初は、それについて「こんなに詰め込んでいいの!?」と思わずにはいられない部分もありました。

これまでのスポーツ漫画には「中途半端な恋愛要素なら要らなかったなー」と思うような作品もあったので、アレもコレもとなると全部が中途半端になっちゃうんじゃないかと思っていたんですよね。

ハッキリ言ってそんな心配がまったく必要ないほど、すべてが秀逸なバランスで完成されていて、純粋に面白い作品だと思いました。たぶん全19巻というボリュームで終わったからこそ「もっと読みたい」と思うのかもしれませんけど、終わりが近付くにつれて寂しくなるほどの面白いマンガは久しぶりです。

恋愛、吹奏楽、野球・・・。それぞれに興味がある人はもちろん、「思いっきり泣きたい」と思う人は本作を手に取ってみてください。メチャクチャ感動して、気持ちのいい涙が流せると思いますよ。

 

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