「犬派?猫派?」そんなことはどうでもいい!!「星守る犬」が超名作

究極の2択ってあるじゃないですか?「夏と冬、どっちが好きか」みたいなやつ。それと一緒でずっと言われ続けているのは「犬派?猫派?」という2択だと思います。私はずっと猫を飼っていましたし、幼少の頃に犬に噛まれた経験があって断然猫派なんです。ただそれは自分にとって犬が苦手なだけであって、犬派の人の気持ちもある程度ですが分かっているつもりなんですね。

そんな私が「星守る犬」という本を読んだとき、もう「犬派?猫派?」という鉄板トークがくだらないと思えるくらい、すごく感銘を受けました。動物が好きな人…というか、全ての人におすすめしたいハートフルな物語なんです。そこで今回は犬派だろうが猫派だろうがハムスター派だろうが何だろうが関係なしにおすすめしたい「星守る犬/続・星守る犬」をご紹介したいと思います。

著:村上たかし
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目次

星守る犬ってどんなマンガ?

ダ・ヴィンチ ブック・オブ・ザ・イヤー(BOOK OF THE YEAR)2009:泣ける本ランキング1位、読者が選ぶプラチナ本1位
このマンガがすごい!2010 オトコ編 第4位
THE BEST MANGA 2010 このマンガを読め! 第5位

上記のような数々の賞を獲得した村上たかし先生のマンガ作品で、犬とその飼い主を巡る非常にハートフルな物語です。1冊につき2~3つのエピソードとして収録されており、それぞれ主人公と時間軸が変わります。そのどれもがカタチは違えど犬と飼い主の生活にスポットを当てたエピソードです。

そしてそのエピソードたちは最終的に1本の線で繋がります。1話読み切り型のオムニバス方式かと思いきや、実は繋がっていたんですね。私は読む前から「絶対に泣くものか!!」という反骨精神を持って読んだのでアレでしたけど、感情の赴くままに素直に読んだら絶対に泣くと思います。特に犬好きの方なら間違いないです。

本作は全2巻完結となっていますが、2冊目は星守る犬2ではなく続・星守る犬となっています。

星守る犬を楽しむポイント(エピソードごとに紹介)

星守る犬

星守る犬

道端に捨てられていた子犬を拾って帰った女の子と、その家族を巡るエピソードです。小さい子が「ウチで飼う!」と言って聞かないシーンって容易に想像できますよね。それでも頑なに許可を出さない家庭もあれば「しっかり面倒見なさいよ」ということで受け入れる家庭もあるわけで…。ここで描かれているのは後者です。

その後者の中にもまた種類があって、最初から最後を看取るまで家族のように過ごすのか、あるいは構うのは最初だけで徐々に飽きていくのか。犬は散歩もありますし、一時の感情だけで飼うのは難しいですよね。エピソード「星守る犬」では、拾われた子犬と家族の時間を通じて、この家族のお父さんが失ったものと手に入れたものについて描かれています。

日輪草

星守る犬

林道脇にあった放置車両の中で亡くなっていた男性と、その飼い犬と思われる亡骸を巡るエピソードです。一見すると心中のような感じもしますが、死亡時期は男性と犬とで三ヶ月程ズレていることがわかります。本エピソードの主人公はこの遺体の身元受取人を探すことになる男性です。

手掛かりのない状況から聞き込みをしていくんですが、少しずつ明らかになっていく「死んでしまった男性とその飼い犬」のエピソードを受けて自身が飼っていた犬を思い出します。身元が不明のまま無縁仏として処理されることになる男性を他人は可哀想だというかもしれませんが、本エピソードの主人公は全く逆の感想を持つことになるんですよね。そして自身もまた、自分の飼い犬から教わった何かを思い出すという物語です。

双子星

続・星守る犬

星守る犬の最初のエピソードにて、拾われていった犬には兄弟がいたという物語です。元気の良かったお兄ちゃんは小さな女の子に拾われていき、弱っていた弟は近所でも頑固者として評判なおばあさんに拾われていきます。おばあさんは自殺を考えるほど自分の将来に失望しており、そのキッカケ(犬が死ぬことで自分の死のタイミングが作れると考えた)になればという想いでこの犬を拾って帰ったのですがアパートはペット禁止でした。

それを知った大家は最初こそ軽く文句を言っていたものの、特に強く反対するわけでもなく、次第におばあさんと犬のことを親身に考えるようにまでなるんですよ。憎まれ口を叩きながらも、この犬のおかげで元気になっていき、生きる希望を見出したおばあさん。心なしか周りの人たちも優しくなったような気がします。…いや、優しくなったのはおばあさんかもしれません。

一等星

続・星守る犬

親に愛情をもらえていない少年がペットショップで売れ残っていた犬を万引きし、犬と一緒に過ごしていく様子を描いたエピソードです。犬が万引きされる様子をただ見ていたペットショップの店員さんについて、マンガとは言え色々思う部分は出てきますが、そういうややこしい感情は抜きにして楽しめれば色んなものが見えてきます。

そして1番の見所は星守る犬の最初のエピソードと物語が繋がる部分です。きっと読者の大半が「おぉ!ここできたか!!」と、思わず感情を揺さぶられてしまうことでしょう。犬の名前の由来も個人的にはジーンと来ましたが、おじいちゃんの元で幸せを手に入れた少年と犬の感動のエピソードです。

星守る犬/エピローグ

続・星守る犬

1つ前のエピソード「一等星」の主人公の少年は、おじいちゃんの元に到達するまでに数々の盗みを働いたことを告白し、おじいちゃんと犬と一緒に謝罪巡りに向かいます。

これまで盗んだものを返しながら謝って回るわけですけど「じゃあ犬は?」って思うじゃないですか?この子が可愛がって育ててくれたっていう結果論があるからいいという前提こそあれど、店員さんの粋な計らいに胸を打たれましたね。そして最後には、これまでの物語が1本の線で繋がる圧巻のフィナーレが待っています。

最後に

全2巻ですが、読了後は壮大なスケールの物語を堪能したような、清々しい気持ちになりました。犬が苦手な私がここまで夢中になったんですから、犬好きの人や実際に犬を飼っている人なら、感動やむなしだと思います。タイトルが星守る犬ってのもいいですね。最初のエピソード的には「星になった犬」のような気もするんですけど、やっぱ「星守る犬」がピッタリだなぁと。

作者さんいわく「犬がもの欲しそうに星を見続けている姿から、手に入らないものを求める人のことを指す」という意味の言葉であるそうですが、非常にハートフルな良い作品でした。興味がある人はぜひ読んでみてください。

著:村上たかし
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