タバコ1本当たりで失われるビタミンの謎

私は5年ほど前にタバコを止めました。簡単に止められたわけではありませんが、当時はまだ禁煙外来というものがメジャーではなかったので「ひたすら我慢」という方法を取ったんですけど、その当時「タバコ1本吸うごとにレモン1個分のビタミンCが失われる」と聞いたことがあるんです。

当時は「せっかく果物とか食べても意味ないなんて勿体ないなぁ」程度にしか思ってませんでしたが、ちょっと待ってください。「そもそもレモン1個分のビタミンって微量なのでは?」と思いませんか?

私自身「タバコを止めると肌が綺麗になる」とか「タバコを止めるとご飯が美味しくなる」と聞いていたのに、止めてからもそのような事について全くと言っていいほど実感はありませんでしたし、大袈裟に言うと「禁煙者を増やそうということで画策されたデマなのでは?」と思うほどです。

そういうこともあって「レモン1個分のビタミンも大したことないくせに、それをさも大袈裟に表現することで不安感を煽ってるんじゃないか?」って思ったんですよね。というわけで調べてみました。今回は「タバコ1本当たりで失われるビタミンの謎」についてです。

目次

レモン〇〇個分のビタミン

レモン1個分のビタミン量は?

よく「レモン〇〇個分のビタミンC!」などを謳い文句にして売られている商品が散見されますが、そもそも「レモン1個分のビタミン量」ってどの程度なんでしょうか。レモン1個と一口に言っても大きいものから小さいものまでピンキリでしょうし、どこに基準が置かれているのか不明です。

ここから察するに「そもそも大きいレモンと小さいレモンを比較しても、ビタミンCの含有量の差は微々たるものなんじゃないか?」と思ったりもして、元々含まれている量が少なければ、分母が減ってもそんなに栄養は受けないような気がするんですよね。

それにグミやチューイングキャンディーなどでも「レモン〇〇個分のビタミンC!」なんて謳ってますし、もしかするとレモンってビタミンCが少ないのではないでしょうか。

 

レモン50個分のビタミンC

ちなみに私が「レモン〇〇個分のビタミンC!」を謳っている商品で真っ先に思い浮かべるのは、サントリーから販売されている『C.C.Lemon』という清涼飲料水です。レモンと微炭酸の相性が非常に良い本製品は「レモン50個分のビタミンC」を謳い文句にしています。

ここで用いられている基準からすると「レモン50個分のビタミンC=1000mg」とされているので、レモン1個分当たりのビタミンC量を算出すると20mgということになります。ちなみにこの基準は『社団法人 日本果汁協会』が定めたもののようです。

清涼飲料水に添加されたビタミンC量をレモン果実の個数により表示する場合 には、レモン果実1個当たり「20㎎換算」を基準とすることが適切である。

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レモン1個分のビタミンC=20mgの根拠

『日本食品標準成分表』と呼ばれる文部科学省が公表している日常的な食品の成分に関するデータがあり、そこで「レモン全果1個当たりの質量は120g」と定められていました。同様にビタミンCの含有量についても「レモン全果100g当たり100mg」「レモン果汁100g当たり50mg」との表記があり、レモン全果から取れる果汁は30%になるとのことです。

そう定義づけられているのであれば、あとは算数で導き出せますね。レモン1個120g内の果汁が40g、果汁は100gにつき50mgのビタミンCを含んでいますから、果汁40gが含んでいるビタミンC量は20gということになります。これがレモン1個分当たりのビタミンC量が20mgと言われている根拠です。

レモンのビタミンCが多いか少ないか

それでは早速ですが、文部科学省が発表しているデータから「ビタミンCの含有量が高い」とされている食品を調べてみましょう。

第1位 アセロラ(100g当たり1700mg)

・・・え!?桁が全然違いませんか?単位とか間違ってませんよね?ミリグラムとグラムがおかしなことになってたりしないですよね?ビタミンCの含有量がレモンの85倍なんですけど・・・。ちなみに2位が青汁(100g当たり1100mg)で、3位がパセリ(100g当たり820g)でした。

データベースでは100位まで調べることができるのですが、レモン全果は25位。アセロラの足元にも及ばないという事実が明るみになったわけですけど、言い換えるのであれば「レモン1個分のビタミン<アセロラ2g」ということになりそうです。

 

なぜ「レモン〇〇個分」という表現をしているのか

広さを表す指標として、日本人が好んで使う表現の中に「東京ドーム〇〇個分」という表現があります。これは日本人にとって親しみのある東京ドームに例えることによって、イメージしやすかったり、わかりやすいから用いられている例えだと思うんです。

つまり量がどうと言うよりも、分かりやすさに重きを置いた表現なのではないでしょうか。ソースが見つからなかったので、あくまで私の推測になりますが「レモン全果のビタミンC含有量が100mgということで、基準がここに置かれているため」だと思われます。

私としては「レモン100個分!」って言われちゃうとすごいと思ってしまうので、最初から「アセロラ100gちょっと」って言ってほしいんですけど、こればかりは文部科学省が定めているので仕方ないですね。

 

タバコ1本当たりで失われるビタミンCの量は微量

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結論としては「タバコ1本当たりで失われるビタミンCの量は微量」と言えると思います。仮に1日当たり20本のタバコを吸っているとしても、レモン全果1個当たり100gですから(果汁だとしたらもっと少なくなります)、アセロラ110g程度を摂取すればほぼ賄える計算です。

ただしタバコの害については、ビタミンCのみならず「一酸化炭素」「ニコチン」「タール」など多項目に渡っているので、健康を心がけていくうえでは吸わないのが1番ですね。

 

最後に

本当は「ビタミンCがこんなに失われちゃうんだから、肌のハリも無くなるし、美容に気を遣う第一歩としてタバコを止めよう!」という流れにできたら良かったのですが、ビタミンCという面だけに注目すると大したことはなさそうです。

この事実を知らなければレモン〇〇個分という表記に踊らされて、様々な商品に手を伸ばしていたかもしれません。もしかしたら、嫌煙家の人や「タバコを撲滅させようと考えている人」が打ち出した策略なのかもしれないですね。

さすがにレモン1個分のビタミンCが失われていくって言われたら構えちゃいますから。この表現方法については「恐竜の大きさを蟻で例えるようなもの」なので、そこまで気にする必要はなさそうです。

しかし私自身、肌が綺麗になったわけでもなければ食事が美味しくなったわけでもないですけど「タバコを吸わなくなって良かった!」と思っているので、ビタミンC以外の理由からも「禁煙」はオススメしたいと思います。

 

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