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合気道を題材にした名作!「EVIL HEART」の家族愛に涙

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スポーツ漫画は世の中に溢れていますが、武道を題材にしたマンガとなると一気に絶対数が減ると思いませんか?私は柔道や空手、剣道などの「武道にスポットを当てたマンガ」をあまり知りません。

タイトルにもあるように、今回ご紹介するマンガは合気道を題材にしている作品です。ぶっちゃけ私は合気道に対して大した知識もありませんし、合気道のマンガと言われても本作品しか知らないんですよね。

今回は、そんな合気道の知識ゼロの私が読んでも面白いと思える作品「EVIL HEART(全6巻)」をご紹介したいと思います。

 

 

どんなマンガ?

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コミックス 第1巻

複雑な家庭環境を抱えている1人の中学生が、自分や家族を守るために強くなりたいと願い、たまたま出会った合気道に身を委ねるというお話です。父親が暴力を振るう系の人で、さらに兄貴も暴れん坊という…かなり込み入った話となっています。

ちょっとしたことがあって主人公の少年とそのお姉さんが2人暮らしをしているのですが、兄貴がちょくちょく邪魔しにきては主人公と対立を繰り返していて、年齢に開きのある兄弟ですから主人公は敵わないんですよね。

そんなときに、いとも簡単に自分を投げ飛ばした合気道に魅了され、最初は兄貴を倒すための憎しみの感情だけで道着に袖を通します。そして稽古を通じて、心身ともに成長していくという物語です。

 

見所

合気道の性質

 

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コミックス 第1巻

武道は相手を重んじることを念頭に置いています。昨今の五輪におけるJUDOは柔道とは違い、武道ではなくスポーツだという見方も強いですが、基本的に武道は「技を磨きながらも、しっかりとした人格の形成をする」という前提で成り立っているものです。

早い話が、入口は「喧嘩が強くなりたい」「ムカつく奴を倒したい」という理由でも、そういう争いが何も生まないという悟りの境地に辿り着くというか…精神的に2つくらい上のステージにいけるものだと思っています。

本作でも「ケンカに強くなりたい」という理由で合気道を始めるのですが、合気道は自分から攻撃を仕掛けるというものではありません。そのため、実践という部分での疑問と向き合いながらも、徐々に合気道の魅力に取りつかれていく主人公の姿が熱く描かれています。

その様子は不良少年が徐々に更生していくような感じと言ってもいいかもしれません。全6巻を通じて少しずつ変わっていくので、とても大きな見所だと思いますよ。

 

トラブルの解決方法の変化

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コミックス 第3巻

基本的に部活動を題材にしたマンガは、部の存続が危ぶまれるというのが必須のカードです。本作に置いても、それは例外ではありません。

物語の主人公とは言え、まだ中学生の男子です。最初は暴力でトラブルを解決するという一辺倒でしたが、暴力で解決するということは、そのうちカタチを変えてまた自分に降りかかってくるということを理解し始めます。

これまでは手の付けられなかったほど狂暴な少年が、仲間と一緒に取り組む部活動に憧れ、平和的にトラブルを解決する道を模索し始めるんですよ。ポスター貼ったり、校内放送で呼びかけたり…。

最終的には、これまでは何でも「自分が…」と考えていた主人公が、周りの大人たちに心を開いていくようになるんです。人に信頼されたかったら、人を信頼しろってことですね。うーん、熱い。

 

部員との友情

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コミックス 第3巻

これも部活動モノでは、もはや鉄板ですね。どっちかって言うと、頭にくると歯止めが利かない主人公という意味では、主人公が「こんなのやってられるかぁ!!」となりそうですけど、きっと仲間ができたのがよほど嬉しかったんでしょう。なんとか連れ戻そうとします。

あ、ちなみに序盤には主人公の「こんなのやってられるかぁ!!」的な場面もあったような無かったような…。やっぱ友情って素晴らしい。

 

目から鱗的な「気功」の解説

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コミックス 第4巻

個人的に合気道に対してあまり良いイメージが無かった理由の1つが、この「相手に指1本触れずブン投げる」という胡散臭いものでした。たまにテレビとかでやるじゃないですか?

実際にドッキリなんかでもありましたよね。「果たしてタレント〇〇は、実は素人であるニセ師範の気功にかかったフリをするのか」的なやつ。個人的にはこの手の演出はヤラセであり、両者の打ち合わせがあって実施されるインチキだと思っていたんです。

その解釈の仕方に心底驚かされました。「あー、そういう考え方するのね」って、イイ意味で「モノは言いようだなぁ」と。これはあれこれ突っ込みたくなる私としても、面白いと感じましたね。

 

母親と兄貴を巡る家族関係の結末

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コミックス 第6巻

このマンガの登場人物の心情心理は極めて複雑です。暴れん坊の兄貴から自分や姉、そして母親を守るという理由から習い始めた合気道。しかし、合気道は相手を殺す武術ではなかったわけです。この合気道が何を護るのか、これは必見ですよ。

個人的には母親の視点や兄貴の視点バージョンで番外編を描いて欲しいと思うくらい、考察の幅が広い作品だと思います。

「この時、兄貴はこういう気持ちだったんじゃないだろうか?」とか、そうやって読み進めることでエンディングが10倍も20倍も深いものとなるでしょう。この家族愛、ウルっときます。

 

最後に

可愛らしい絵とは裏腹にかなりの熱量を持った作品です。本質は優しい子なのに、家庭環境のせいでダークヒーロー化し、合気道がそれを正しいカタチに戻してくれるという構成には、1点の曇りもありません。

こういうのを見ちゃうと、子供に合気道を習わせようと考える親御さんの気持ちがわかるというか…武道っていいなぁって思いますよ。

老若男女問わずに夢中になれる作品です。全6巻というボリュームも読みやすいので、気になった方は是非チェックしてみてください。