主人公が悪属性の心理戦「トモダチゲーム」の邪悪な雰囲気がクセになる

タイトルの時点で不穏な空気を感じさせる「トモダチゲーム」ですが、お察しの通り「様々なゲームをしていくうえで、それでもトモダチでいられるか?」という部分をテーマにしている作品です。ジャンルとしては頭脳戦・心理戦に近く、ちょっと倫理に欠けるというか少し覗いてみたくなるような人間の汚い部分が描かれています。早い話が「ギャンブル要素のある騙し合い」みたいなことですね。これがなかなかに面白いです。

人間の裏切りとか騙し合いとか、そういうマンガが好きな人なら間違いなくハマると思います。個人的にも結構楽しみにしているマンガの1つなんですよね。今回は邪悪な雰囲気をひしひしと感じる心理戦マンガ「トモダチゲーム」を紹介します。

コミックス1巻のみネタバレありです。

著:山口ミコト, 著:佐藤友生
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目次

トモダチゲームってどんなマンガ?

コミックス1巻

とある高校の2年生、仲良し5人組を中心に進められる物語です。ある日、クラス全員分の修学旅行費である200万円が何者かによって盗まれてしまいます。「あいつが盗んだんじゃないか?」などのセリフが囁かれる中、この仲良し5人組が何者かにさらわれ、トモダチゲームと呼ばれるゲームに参加することになりました。

ゲームの目的はこの5人の借金の合計2000万円をゲームを通じて返済することで、誰の借金のためにゲームをしなくてはならないのか、そもそもなぜこのようなことになってしまったのか、何もかもが把握できないまま物語はゲームへと進んでいきます。

トモダチゲームを楽しむポイント

ルール

コミックス1巻

問題は全部で5問。5人が順番に出題者となり問題を出し、それに対して5人全員が「はいorいいえ」で答え、正解できたら200万円が得られるという簡単な内容のゲームです。このときもし意見が割れた場合は少数派の意見が採用されるため、答えが4:1に割れてしまった場合は1人が選んだ答えが全員の答えとして採用されてしまいます。

さらに付加ルールとして「ゲーム中は声を出してはいけない」というルールがあり、原則としてゲーム中に5人は会話による相談はできません。これを破ると借金が2倍になるという枷が加えられています。また万が一5問連続で不正解だった場合は、1番最下位の人が全員分の借金を1人で背負うことになるとのことです。

借金は2000÷5=400

コミックス1巻

まずゲーム始めに5人が2000万円の借金を背負っているという状態から始まりました。これは5人の中で1人が2000万円の借金をしていたのか、それとも1000万円の借金をしていたのが2人なのかはわかりません。あくまで私たち読者は「主人公の友一は借金をしていないし修学旅行費も盗んでいない」ということしか知らない状態です。

この借金がゲーム開始時に5等分され、1人頭400万円の借金になります。そしてこのトモダチゲームは5人のうちの誰かが望んで参加しているようで、その参加費用が200万円とのことでした。つまりこの5人(主人公を除けば4人)のうちの誰かが自分の借金を返済するために他の4人を巻き込み、さらには修学旅行費も盗んだという状態から始まります。

「1+1=2」である

コミックス1巻

誰でもわかる問題が出題されますが、残念ながら答えは不正解の「NO」を選択されることになります。この事実から5人のうち誰かがわざと間違ったと考えるのが自然でしょう。

なぜ間違うのかについては出題者の順番が主人公に回ってきたときに明らかになるのですが、実は出題文を読み上げるための紙には問題文は書かれておらず「出題は自分で考えろ」という一文に加え「はいが選ばれたらクリア」「答えがいいえになれば、出題者の借金だけが半分になる」という文章が添えられています。

普通にクリアしても全員で200万円しか貰えないわけですから、ここで借金半分というのは非常においしいわけです。この時点では「これまでの出題者が、誰でもわかるような問題を出題し、自分でわざと間違ってきた」と推測されたのですが、主人公が流れを断ち切る「はい」を選択したにも関わらず、5人が選択した答えは「いいえ」になってしまいました。

裏切者がわざと反対の答えを選んでいる

この時点でこれまでの出題者が成功しようとしたか私利私欲に駆られて間違ったかはさておき、少なくとも裏切り者は真逆の答えを選んでいた可能性が高くなります。

主人公が「自分の借金が半額になる」という好条件を捨てたにも関わらず、結果的に不正解を選ばされてしまったことによって、これまでの出題者ももしかしたらそうだったのかもしれないという二重、三重の罠にハマってしまったと言っていいでしょう。

最後の問題

コミックス1巻

第1問~第5問の問題すべてにもし自分の時と同じ文言が書かれていれば、全員不正解でも全員の借金がそれぞれ半分になっているのでブービーが発生しないことになります。主人公の友一はここに矛盾を見出し「最後の問題は今までのような文言が書かれていないんじゃないか?」と推測しました。

それと同時に「自分の前に出題した3人も自分と同じ言葉が書かれていた」というのもあくまで推測でしかありません。ただ裏切り者がわざと間違っていたという事実は確実なので、少なくとも裏切り者だけは借金をうまく減らしていると考えるのが妥当です。

もし最後の出題者のときだけ「答えがいいえになれば、出題者の借金だけが半分になる」という文言が添えられていなければ、最後の出題者がブービーになってしまいます。それを防ぐために主人公があえて自らペナルティを犯すという事態に発展するんですよね。この流れがメチャクチャ面白いです。

「ブービー賞は借金が1番少ない人に変更された」

「借金が1番少ない人間が、全員の借金を背負わなきゃいけなくなったってさ」と言うことで、自分がペナルティを犯した理由を作ると同時に「喋った人間が裏切り者」という状況を作り上げます。

言うまでもなく裏切り者の狙いは、自分以外の誰かをブービーに仕立て上げることで、このゲームをクリアすることなんか微塵も考えていませんし、少なくとも幾らかは借金の減額に成功していると見るべきです。それが急に「借金が少ない人がブービー賞に変わった」と聞かされたら、どういう行動に出るでしょうか。

単純なのは「わざと喋って借金を増やす」ということですけど、それをやっちゃうと「自分が裏切り者です」ということになってしまうので苦肉の策として最終問題は正解するというのが筋になります。まぁ実際に正解したのかどうかは本作を読んで確認していただけたら嬉しいです。

意外と複雑な駆け引き

コミックス1巻

意外とって言ったらアレですけど初見では意味がわかりませんでした。「主人公を含めて最初に出題した4人は借金が半額になってて200万円ずつだから喋った人=裏切者って成立しないんじゃない?」とかずっと考えてましたもん。

どうやら「いいえになったら出題者のみ借金が半分になる」と書かれていたのは主人公のときだけだったようです。実際にそうだったのかどうかは知る由もありませんがそういうテイのようですね。何も書かれていなかったかもしれないし、別の文言が書かれていたのかもしれません。

最後に

個人的に「え?どういうこと?」と思うくらい複雑な描写を理解できた時の爽快感がたまらなく好きなので、現時点では非常に期待している作品の1つです。この先もゲームは続いていきますが「正直、その駆け引きは無理があるんじゃね?」という部分もあるんですけど疑心暗鬼に陥る感じは見ていて最高です。

なによりコックリさんゲームではちょっとしたヒーローのようだった主人公が徐々に悪属性に変わっていくんですよね。そのあたりも大きな見所だと言えるでしょう。心理戦・頭脳戦の駆け引きやちょっとダークな世界観が好きだという人はぜひ読んでみてください。

著:山口ミコト, 著:佐藤友生
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